本記事の数値・手順はあくまで参考値です。
実際の作業では試験会場の指示・公式テキストを必ず最優先にしてください。
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筆者:ゆーじ
・射出成形作業 1級技能士
・射出成形歴14年
・現在は開発業務に従事。成形条件の検証や量産立上げに携わっています
・成形現場.tech 運営
下記は実際の賞状です。資格の実在性を確認いただけます。

※名前はプライバシー保護のため加工しています
この記事でわかること
・2級実技試験で一番重要な考え方
・PS・ABS・PEそれぞれの攻略ポイント
・時間配分の目安(実際の動きのイメージ)
・致命的不良と妥協できる不良の見極め方
・私が合格したときの判断基準
成形現場で働く皆さん、今日もお疲れ様です。
1級技能士のゆーじです。
私は射出成形技能検定2級を3位で一発合格し、その後に1級技能士も取得しました。
しかし、提出品は決して完璧ではありませんでした。
ABSではゲート裏のヒケに苦しみ、ウェルドラインとのバランスに悩み、最後のPEへの切換ではパージに時間を取られました。
試験中は何度も時計を見ましたし、「これは落ちたかもしれない」と本気で焦った場面もあります。
それでも合格できたのは、完璧な製品を作れたからではありません。
どの不良が致命傷で、どの不良なら提出できるのかを理解していたからです。
合格する人は100点を目指さない。提出できる製品を安定して揃える人が受かる。
- 合格するための3原則
- 射出成形技能検定2級の合格率と難易度
- 射出成形技能検定2級の受験資格
- 射出成形技能検定2級の試験内容
- 射出成形技能検定2級は独学で合格できるのか?
- 射出成形技能検定2級 実技試験の全体像と時間配分
- 温調配管の基本:ホースはタイバーの外を通す
- 射出成形技能検定2級 PS成形の攻略ポイント
- 樹脂替えで必ずやるべきこと:ホッパー掃除と材料管理
- 射出成形技能検定2級 ABS成形の攻略ポイント
- 私が3位合格できた理由
- 致命的不良と妥協していい不良の判断基準
- 射出成形技能検定2級 PE成形の攻略ポイント
- 群馬県受験者への注意点
- 試験直前チェックリスト|当日の確認に使ってください
- 射出成形技能検定2級 実技試験で落ちる人の特徴
- 試験前日・当日の過ごし方
- よくある質問
- まとめ|2級実技試験は「完璧」より「判断力」
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合格するための3原則
難しい理論より先に、この3つを頭に入れてください。
原則①:致命的不良(ショート・クラック)だけは絶対に出さない
他の不良は妥協できる。しかしショートとクラックは即座に大幅減点になる。これだけは守る。
原則②:提出できる製品を規定数揃える
完璧な1個より、合格ラインの製品を20個揃えることのほうが評価される。完璧を目指すと時間を失う。
原則③:時間を意識して動く
試験時間は3時間。「まだ余裕がある」という感覚は危険。常に「今どこにいるか」を意識して進める。
この3つが頭に入っていれば、以下の攻略ポイントがより理解しやすくなります。
射出成形技能検定2級の合格率と難易度
射出成形技能検定2級の合格率は年度によって変動しますが、おおむね40〜60%前後で推移しています。
受験者の多くは現場経験者です。条件出しの上手さより、時間配分と提出判断の方が合否への影響が大きいと私は感じています。
射出成形技能検定2級の受験資格
射出成形技能検定2級を受験するには、原則として2年以上の実務経験が必要です。
受験資格の詳細は年度によって変わる場合があります。必ず中央職業能力開発協会の公式サイトで最新情報を確認してください。
射出成形技能検定2級の試験内容
試験は学科と実技の2本立てです。学科試験は四択形式で、過去問を繰り返し解くことで合格ラインに届きます。
実技試験(製作等作業試験)は以下の流れで進みます。
- 金型取り付け・温調配管
- 条件出し
- PS成形(20個)
- PS寸法測定・筆記
- ABS成形(20個)
- PE成形(残留確認)
- 後段取り・ABS寸法測定・筆記
この一連の作業を標準時間2時間30分、打切り時間3時間で完結させる必要があります。提出する成形品はPS・ABSの2種類で各20個・合計40個の箱型成形品です。
PEは提出用ではなく、ABSの残留確認が目的です。
射出成形技能検定2級は独学で合格できるのか?
現場経験が十分にある人であれば独学でも合格できます。
私の場合も特別な実技講習を繰り返したわけではなく、日常業務の中での条件出しや樹脂替えの経験が大きな力になりました。
ただし後段取りや樹脂替えの手順は体で覚える必要があります。実機経験が少ない場合は講習会や社内練習を活用したほうが有利です。
おすすめの参考書はこちらです。この本を3周しました。2級も1級も学科対策はほぼこの1冊で十分でした。
▼「攻略!射出成形作業 技能検定試験1・2級」横田明 著(日刊工業新聞社)
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射出成形技能検定2級 実技試験の全体像と時間配分
まず試験全体の流れを把握しておくことが重要です。
試験時間は3時間。作業工数に対して時間が非常に短く、「まだ時間があるから余裕」という感覚は危険です。
おおまかな時間の目安は以下のとおりです。これは私が実際に動いたイメージです。

- 0〜30分:成形準備(測定・金型取り付け・温調配管)
- 30〜40分:PS条件出し
- 40〜70分:PS成形20個
- 70〜80分:PS寸法測定・記入
- 80〜90分:ABS切換・条件出し
- 90〜140分:ABS成形20個
- 140〜150分:PE成形・後段取り
- 150〜170分:ABS寸法測定・筆記・片付け
- 170〜180分:予備
PSからABSへの切換昇温中にPSの測定をします。
予備の10分は、私の実際の試験ではほぼ消えました。ABSに時間を残すことを最優先に動くのが正解です。
温調配管の基本:ホースはタイバーの外を通す
成形準備の中で見落としやすいのが温調ホースの配管ルートです。キャビ側・コア側それぞれの配管は、必ずタイバーの外を通します。タイバーの内側を通してしまうと、型開閉時にホースが巻き込まれるリスクがあります。
※こちらは群馬県の令和4年時点での設定になりますので、検定を受験する前に要確認です。

射出成形技能検定2級 PS成形の攻略ポイント
PS(ポリスチレン)は3種類の中で最も扱いやすい樹脂です。
PS成形の最大の落とし穴は「ヒケを消そうとして保圧をかけすぎること」です。保圧を上げすぎるとクラックにつながります。
なお、PS成形でシルバーが出た場合の対処法はシルバー対策の記事で詳しく解説しています。
PS成形の判断基準はシンプルです。
- ショートが出ていない
- クラックが出ていない
- ゲート裏のヒケが許容範囲内(完全に消えなくてもよい)
ゲート裏のヒケは減点評価が高い項目です。ただしヒケを消そうとしてクラックを出すほうが致命的です。安定して20個揃えることを優先してください。
PSで出した条件はABSの基準になります。PSに時間を使いすぎると、後半のABSで苦しくなります。PSは早めにまとめてABSに時間を残すことを意識してください。
樹脂替えで必ずやるべきこと:ホッパー掃除と材料管理
※こちらも群馬県での設定になります。
【鉄則①】樹脂替えのたびにホッパーを掃除する
前の材料が残ったままホッパーに新材を入れると混入の原因になる。樹脂替えのたびに必ずホッパーを掃除してから新材を投入すること。試験の緊張感の中で見落としやすい基本作業のひとつです。
【鉄則②】成形終了時に材料が残るなら絞る
各樹脂の成形が終わった時点で材料が残っている場合、量にもよるが絞っておくほうがいい。後処理がはるかに楽になります。
射出成形技能検定2級 ABS成形の攻略ポイント
私が2級で最も苦戦した樹脂です。特に注意したいのがゲート裏のヒケとウェルドラインです。
ゲート裏ヒケが消えない時にやったこと
私は最初、ヒケを保圧不足だと考えました。しかし思ったほど改善しませんでした。
そこで次に疑ったのがV-P切換位置です。V-P切換位置を手前に変更し、充填量を増やす方向で調整したところ改善しました。
対処の順番はこうです。
- 保圧を上げる
- 保圧時間を見直す
- V-P切換位置を手前に変更する
- 充填量を見直す
私の場合、ABSでヒケが消えず残り40分になった時、本気で落ちたと思いました。それでも「保圧ではなくV-P切換」という判断に切り替えたことで立て直せました。
焦った時こそ、一度立ち止まって何を変えるべきか整理することが重要です。
保圧で改善しない場合はV-P切換位置を疑う。これは試験だけでなく現場でも有効な考え方です。
ヒケだけを追いかけるのは危険
ヒケだけを追い続けるとウェルドラインの確認が甘くなり、提出後に後悔する可能性があります。
私は必ず「ヒケ確認→ウェルドライン確認→シルバー確認」の順で見ていました。
私が3位合格できた理由
条件出しが特別うまかったわけではありません。意識していたのはこの3つだけです。
① 完璧を目指さなかった
ヒケが残っていても、ショートとクラックがなければキープ品として残しました。100点を探しているうちに時間が溶けます。
② 条件変更を一気にやらなかった
焦ると複数の条件を同時に変えたくなります。しかしそれをやると何が効いたかわからなくなる。1項目・小さく・確認する。この繰り返しだけです。
③ 提出判断を先に決めていた
「ショートとクラックは出したら終わり。それ以外は場合による」という基準を試験前に決めていました。迷う時間がなくなります。
試験は判断力を問われる場です。条件出しより、何を優先して何を諦めるかの判断が合否を分けます。
致命的不良と妥協していい不良の判断基準
2級実技試験において、「どの不良は絶対にダメで、どの不良なら妥協できるか」の判断基準を持つことが合格の鍵です。

ゲート裏のヒケは減点が高い評価項目ですが、ショート・クラック1個よりはるかにマシです。判断基準を間違えないようにしてください。
100点の製品を探すより、減点の大きい不良を避ける方が合格に近づきます。判断に迷う製品は捨てずに残しておくことをおすすめします。
射出成形技能検定2級 PE成形の攻略ポイント
PEは提出用ではなく、ABSの残留確認が目的です。
ですが私は「早く終わらせなければ」と焦り、PEが完全に抜ける前に確認を受けようとしてしまいました。その結果、PEがうまく抜けず、10分以上ロスしました。
検定では焦る気持ちが一番の敵です。
提出品ではありませんが、検定員のOKが出るまで終われないため、最後まで落ち着いて確認しましょう。ゲートの裏側が白くなっていたら要注意です。
群馬県受験者への注意点
群馬県の試験では他県と異なる独自ルールがあります(令和4年度の場合)。
PEの成形手順は他の樹脂と少し異なります。
- 最初にショートショットを3ショット打つ
- その後、完全充填品を2ショット成形して提出
このルールを知らずに成形を始めると、検定員に止められる場合があります。群馬で受験する方は必ず頭に入れておいてください。
試験直前チェックリスト|当日の確認に使ってください
試験当日、焦りの中でやるべきことを抜かすのを防ぐために使ってください。
- 試験開始直後に昇温を開始した
- 金型の寸法、ロケート径を計測した
- 温調ホースをタイバーの外に通した
- ホッパーを清掃してから新材を投入した
- 各樹脂の成形開始時に5ショットのショートショットを打った(群馬)
- 不良品をすぐ捨てずにキープとして確保した
- ABS→PEのパージを丁寧に行った
- PS・ABS寸法測定を完了した
- 後段取り・工具の片付けを完了した
- 終了後の清掃を行った
射出成形技能検定2級 実技試験で落ちる人の特徴
私が見てきた経験から、落ちる人には共通したパターンがあります。
① 完璧な製品を目指す
ヒケを消そうと保圧を上げすぎてクラックを出す。条件を追いかけすぎて時間を失う。これが最も多い失敗パターンです。
② 不良品をすぐ捨てる
出た瞬間に捨ててしまうと、後で手持ちがなくなる。妥協品でもキープしておく判断が必要です。(一応検定員に確認してください。)
③ PSで時間を使いすぎる
PSに時間をかけすぎると、難易度の高いABSで詰まります。PSは早めに見切ってABSに時間を残す意識が重要です。
④ ABSのヒケだけを追い続ける
ヒケの対策だけに集中してウェルドラインの確認を忘れると、提出後に後悔します。ヒケとウェルドラインは必ずセットで確認してください。
⑤ 時間管理ができない
「まだ時間がある」という感覚が危険です。常に「今どこにいるか」を意識して動かないと後半で詰まります。
⑥ PEパージを甘く見る
パージが中途半端な状態で確認を求めると手戻りが発生します。10分以上のロスになることがあります。
試験前日・当日の過ごし方
緊張するのは準備してきた証拠です。緊張をなくそうとするより、緊張したまま手順を動かせる状態を作ることが大事です。
可能であれば、前日に会社でPEからPSへの樹脂替えを練習しておくことをおすすめします。本番のパージで手間取る原因のひとつが樹脂替えの段取りです。一度でも練習しておくと当日の焦りが全然違います。
よくある質問
射出成形技能検定2級実技試験で一番重要な樹脂は何ですか?
ABSです。私もABSのゲート裏 ヒケに一番苦戦しました。PSで方向性をつかんでからABSに時間を残す意識が重要です。
ABSのゲート裏ヒケが消えません。どうすればいいですか?
保圧を上げても効果が出ない場合は、V-P切換位置を手前に変更して充填量を増やす方向を試してください。ただし保圧の入れすぎはクラックにつながるため注意してください。
射出成形技能検定2級実技試験の合格ラインはどのくらいですか?
ショートやクラックのない状態で提出数を確保できれば合格ラインに入ります。軽微なヒケや小さいシルバーは許容される場合があります。ただし公式の判断基準は公開されていません。
標準時間を超えたら不合格になりますか?
標準時間(2時間30分)を超えると減点になりますが、打切り時間(3時間)以内であれば合格の可能性は残っています。私自身、10分オーバーしても3位で合格しています。諦めずに最後まで提出数の確保を優先してください。
射出成形技能検定2級実技試験は独学でも合格できますか?
可能です。ただし実機に触る時間は必要です。成形機の操作感覚は実際に動かさないと身につきません。
射出成形技能検定2級実技試験の持ち物は何が必要ですか?
試験実施機関から案内される受験票・実施要領を必ず確認してください。私が受験した会場では、綿手袋・軍手・安全靴を使用しました。
まとめ|2級実技試験は「完璧」より「判断力」
射出成形技能検定2級の実技試験で求められているのは、完璧な製品を作るスキルではありません。
限られた時間の中で、致命的不良を出さずに規定数を揃える判断力です。
私は3位で合格しましたが、試験中は何度も焦りました。ABSではヒケに悩み、PEではパージで10分以上ロスしました。それでも最後まで提出品をそろえ、合格できました。
2級実技試験は、完璧を競う試験ではありません。限られた時間で「何を優先し、何を妥協するか」を判断する試験です。
この記事が、これから受験する方の合格につながれば嬉しいです。
PS・ABS・PEの具体的な条件数値・ウェルドラインの詳細判断基準・完全チェックリストはnoteで解説しています。
→【図解】射出成形技能検定2級 実技試験|ウエルドラインの見方と減点されない判断基準(無料版)
→【平成26年3位合格】射出成形技能検定2級 実技試験の実戦記録|私が合格した時の条件表と提出判断の考え方(有料版)
関連記事
1級合格を目指す方はこちら → 【一発合格】射出成形技能検定1級 実技試験の攻略法
現場の不良対策はこちら → 射出成形 不良対策まとめ|症状から原因を絞り込む完全ガイド
PS,ABSのウェルドラインで悩んでいる方はこちら →【note】【図解】射出成形技能検定2級 実技試験|ウエルドラインの見方と減点されない判断基準
製品以外の減点ポイントが気になる方はこちら→【1級技能士が解説】射出成形実技試験で減点されやすいミス10選
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