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成形現場で働く皆さん、今日もお疲れ様です。
1級技能士のゆーじです。
今回は「ボイド」についてお話しします。
ボイドは、外観からは見えないことが多く、気づいたときには手遅れになりやすい不良です。
ヒケと混同されがちですが、実は見分け方も原因も違います。
私自身、ABSの板物でウェルド部にボイドが出て、原因を探るのに苦労した経験があります。
今日はその経験も含めて、ボイドの原因と対策を整理してお伝えします。
ボイドとは?

ボイドとは、製品の内部にできる空洞のことです。
冷却収縮によって発生する「収縮ボイド(真空ボイド)」と、空気やガスが閉じ込められて発生する「ガスボイド」の2種類があります。
透明品なら確認しやすいですが、着色品だと表面には出てこないことが多く、切断・X線・超音波検査などで初めて見つかるケースも少なくありません。
「ヒケは出ていないのに、切断したら中が空洞だった」という形で発覚することもあります。

ボイドとヒケの違い
ボイドとヒケは、どちらも収縮に関係する不良ですが、性質が異なります。
| 項目 | ヒケ | ボイド |
|---|---|---|
| 発生場所 | 表面 | 内部 |
| 見た目・触感 | 表面が凹み、触ると分かる | 着色品だと外観からは分かりにくい |
| 中身 | 樹脂が引けて凹んでいる | 空洞(収縮またはガスによる) |
| 見つかるタイミング | 外観検査で気づきやすい | 切断・X線・超音波検査で発覚しやすい |
私の感覚では、ヒケは表面が凹んでいるので触ればすぐに分かります。
一方でボイドは、内部に空洞ができた状態で、外から見ても気づけないことが多いです。
ヒケの詳しい対策はヒケ対策の記事で解説しています。
ボイドの主な原因
ボイドの原因は、大きく分けると「収縮」と「ガスの巻き込み」の2つの視点で考えられます。
検索してこの記事にたどり着いた方の多くは、「保圧不足や肉厚部の収縮が原因では」とイメージしていると思います。
まずは一般的に疑われやすい原因から順番に紹介します。
①保圧不足
保圧が足りないと、肉厚部の内部で樹脂が収縮したときに、外側は固まっていても内部が引っ張られて空洞ができることがあります。
ボイドの原因として、最初に疑われることが多いポイントです。
保圧の基本的な考え方は保圧の記事でまとめています。
②肉厚差
肉厚部は外側から先に固化し、中心部が最後まで冷えずに残ります。
この中心部の収縮が大きいと、内部に空洞ができやすくなります。
保圧不足と合わせて、真空ボイド(収縮ボイド)の代表的な原因です。
③ガスの巻き込み(ウェルド部・最終充填位置)
樹脂の流れがぶつかり合うウェルド部で、速度が高すぎると空気を巻き込みやすくなります。
ウェルドラインとしての外観不良だけでなく、内部にボイドとして残ることもあります。
流動の最終地点(末端)でも、速度が高いまま充填が終わると、同じように空気を巻き込みやすくなります。
ウェルドラインの詳しい対策はウェルドラインの記事で解説しています。
④金型のガス抜き(ベント)不足
金型のベントが詰まっていると、キャビティ内の空気の逃げ場がなくなり、樹脂内部に閉じ込められてボイドになることがあります。
ここまでが一般的に想定されやすい原因ですが、現場では必ずしもこの順番に当てはまるとは限りません。
私が経験したABSの板物では、保圧不足ではなく、ウェルド部での巻き込みが原因でした。
私が経験したボイドの事例
以前、透明ABSの板物(3点ピンゲート)で、ウェルド部にボイドが発生したことがあります。
原因は、樹脂同士がぶつかる際の速度過多でした。
樹脂がぶつかる部分を特定し、多段設定でその部分だけ速度を落としたところ、ボイドが消えました。
あわせて、最終充填位置(流動末端)も速度過多になりやすいポイントなので、そこも速度を落として対応しました。
また、金型のベント掃除も並行して行いました。ベントの詰まりも、ボイドが出る原因の一つだと考えています。
多段射出の設定方法は多段射出の記事で解説しています。
ボイド対策の優先順位
私の場合は、次の順番で確認しています。
①樹脂がぶつかる部分(ウェルド部)・最終充填位置を特定する
↓
②該当部分の速度を多段設定で落とす
↓
③金型のベントを掃除する
↓
④それでも改善しない場合、保圧を見直す
速度から先に見るのは、ボイドの多くが「空気を巻き込むタイミング」に起因していると感じているからです。
保圧はそのあとで、密度不足による内部収縮の可能性として確認しています。
現場でありがちな失敗
ボイドが出ると、まず保圧を上げて対応しようとするケースがあります。
原因がウェルド部や末端の速度過多だった場合、保圧をいくら上げても改善しないことがあります。
ベントの掃除を後回しにしてしまうケースもあります。
速度を調整してもボイドが完全には消えない場合、ベントの詰まりが残っていることがあります。
ボイドが解消した状態とは
ボイド対策ができた状態とは、以下の3つを満たしている状態です。
- 切断・X線・超音波検査などで内部の空洞が確認されない
- ウェルド部・最終充填位置の速度が適正に調整されている
- ショットごとの状態にバラつきが少ない
ボイド対策チェックリスト
- 樹脂がぶつかる部分(ウェルド部)を特定したか
- 最終充填位置(流動末端)の速度を確認したか
- 該当部分を多段設定で減速できているか
- 金型のベントを掃除したか
- 保圧が肉厚に対して不足していないか確認したか
- 外観だけでなく、切断などで内部を確認したか
よくある質問
☑ガスボイドと収縮ボイドの違いは何ですか?
ガスボイドは空気やガスが閉じ込められて発生する内部空洞です。一方、収縮ボイドは冷却収縮によって樹脂内部が引っ張られて発生します。前者は速度やベント、後者は保圧や肉厚の影響を受けやすい傾向があります。
☑ボイドとヒケはどう見分ければいいですか?
ヒケは表面が凹むため、触ればすぐに分かります。一方でボイドは内部の空洞なので外観では分かりにくく、切断やX線、超音波検査で見つかることが多いです。
☑ボイドが出たら、まず何を確認すればいいですか?
まず、樹脂がぶつかるウェルド部や、流動の最終充填位置を確認してください。これらの箇所で速度が高すぎると、空気を巻き込んでボイドの原因になることがあります。
☑保圧を上げればボイドは直りますか?
保圧不足が原因であれば改善することがあります。ただしウェルド部や末端の速度過多が原因の場合は、保圧を上げても改善しないことがあるため、まず速度とベントの状態を確認することをおすすめします。
まとめ
ボイドは、外観からは見えにくく、気づきにくい不良です。
ヒケが表面の凹みであるのに対し、ボイドは内部にできる空洞という違いがあります。
原因は保圧不足だけでなく、ウェルド部や最終充填位置での速度過多、金型のベント詰まりなど、複数考えられます。
私の経験では、まず樹脂がぶつかる部分を特定し、速度を落とすことが効果的でした。
保圧だけを疑わず、速度とガス抜きの状態も含めて確認してみてください。
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