本記事の数値・手順はあくまで参考値です。
実際の作業では金型メーカー指定値・社内規定を必ず最優先にしてください。
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成形現場で働く皆さん、今日もお疲れ様です。
1級技能士のゆーじです。
今日は「スクリュー回転数の決め方」についてお話しします。
条件出しの順番では、スクリュー回転数を背圧のあとに触る条件として紹介しました。
ただ正直に言うと、私の経験では、一般的な汎用樹脂の成形でスクリュー回転数そのものが不良に直結したケースは多くありません。
品質に大きく影響するのは、むしろ背圧であることが多いと感じています。
(ガラス繊維入り材やPA・POM、小物の高速成形などでは、回転数が品質に直接効いてくるケースもあります)
今日はその実感を踏まえて、スクリュー回転数の本当の役割を整理してお伝えします。
射出成形のスクリュー回転数はどうやって決める?
結論から言うと、スクリュー回転数は背圧を決めたあとに、計量時間を冷却時間に合わせるための条件です。
スクリュー回転数の決め方(基本の流れ)
背圧を決める
↓
回転数を仮決めする
↓
計量時間を確認する
↓
冷却時間とのバランスを見る
↓
回転数を微調整する
条件出し全体の順番は条件出しの順番の記事でまとめていますので、あわせてご確認ください。
スクリュー回転数だけでは不良につながりにくい理由
スクリュー回転数は、樹脂を計量する速さを決める条件です。
ただ、私の経験上、回転数を多少変えただけで不良が出たり消えたりすることはあまりありません。
気泡の噛み込みや色ムラ、樹脂の混練具合に直接効いてくるのは、回転数よりも背圧です。
背圧の設定方法はこちらの記事で詳しく解説しています。
私の場合は、まず背圧を先に決めます。
そのうえで、スクリュー回転数は「その背圧のもとで、計量時間をどれくらいに収めたいか」を基準に決めています。
スクリュー回転数と計量時間・冷却時間の関係
スクリュー回転数を考えるときに一番大事なのは、計量時間が冷却時間に対して間に合っているかどうかです。
計量が冷却時間より大幅に早く終わってしまうと、樹脂がシリンダー内で必要以上に長く留まることになります。
この滞留時間が長くなると、樹脂の熱劣化や焼け、糸引きなどの原因になることがあります。
私は基本的に、冷却が終わる約1秒前に計量が終わるように調整しています。
このタイミングに近づけると、滞留時間を抑えながら、次のショットへの移行もスムーズになります。
冷却時間の考え方はこちらの記事、糸引きの詳しい対策はこちらの記事で解説しています。
スクリュー回転数に「絶対値」がない理由
スクリュー回転数は、樹脂の種類だけで決まるものではありません。
計量値(1ショットで送り出す樹脂の量)によって、必要な回転数はまったく変わります。
同じ樹脂でも、小さい製品と大きい製品では適正な回転数が違ってきます。
そのため、本記事では「PPなら〇〇rpm」のような固定値は紹介していません。
回転数は、計量値と冷却時間から逆算して決めるものだと考えてください。
スクリュー回転数を決める手順
実際の手順としては、次の順番で確認しています。
①背圧を決める
↓
②回転数を仮決めする
↓
③計量時間を確認する
↓
④冷却時間とのバランスを見る
↓
⑤回転数を微調整する
回転数を上げれば計量時間は短くなりますが、上げすぎるとせん断発熱で樹脂温度が想定より上がることがあります。
樹脂温度への影響が気になる場合は、樹脂温度の決め方の記事もあわせて確認してください。
スクリュー回転数が決まった状態とは、以下の3つを満たしている状態です。
- 計量が冷却時間内に収まっている(目安:冷却終了の約1秒前に完了)
- ショットごとの計量時間のバラつきが小さい
- 樹脂の色ムラ・気泡が出ない
この3つを満たしたら、次の条件(射出速度・射出圧力など)に進んでください。
スクリュー回転数チェックリスト
- 背圧を先に決めてから回転数を調整したか
- 冷却時間に対して計量時間が間に合っているか確認したか
- 計量完了のタイミングが冷却終了の直前になっているか
- 回転数を上げすぎて樹脂温度が上がっていないか確認したか
- ショットごとの計量時間のバラつきを確認したか
よくある質問
樹脂の種類だけでなく、計量値(ショット量)によって適正な回転数は大きく変わるため、一律の数値ではお伝えできません。冷却時間が終了する直前に計量が完了するよう、実機で調整するのが基本です。
背圧を先に決めます。品質への影響が大きいのは背圧で、スクリュー回転数はその背圧のもとで計量時間を調整するための条件と考えてください。
冷却が終わる約1秒前に計量が完了するのが一つの目安です。計量が早く終わりすぎると樹脂の滞留時間が長くなり、糸引きなどの原因になることがあります。
まとめ
スクリュー回転数は、単体で不良を左右する条件というより、背圧のもとで計量時間を冷却時間に合わせるための条件です。
回転数そのものに正解の数値はなく、計量値と冷却時間から逆算して決めるものだと考えてください。
冷却が終わる約1秒前に計量が終わるよう調整すると、滞留時間を抑えつつ、次のショットへスムーズに移行できます。
条件出し全体の中では地味に見えるステップですが、背圧・樹脂温度とセットで考えることで、サイクル全体の安定につながります。
条件出しシリーズ|さらに深く学びたい方へ


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