【1級技能士が解説】射出成形ショートショットの原因と対策|未充填を改善する確認手順

射出成形ショートショットの原因と対策|型温・圧力波形・速度波形の確認手順 不良対策

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実際の作業では金型メーカー指定値・社内規定を必ず最優先にしてください。
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成形現場で働く皆さん、今日もお疲れ様です。

1級技能士のゆーじです。

ショートショットが出たとき、

「とりあえず速度を上げよう」

「圧力不足だから圧力を上げれば直るはず」

と考えた経験はありませんか?

しかし実際の現場では、速度や圧力を上げても改善せず、むしろガス焼けやバリを悪化させてしまうケースがあります。

私自身も過去に、ショートを充填不足だと思い込んで条件を変更し、不良を悪化させた経験があります。

ショートショットは単純な充填不足だけではありません。

実は「速度を上げれば直る」と思っていた不良が、

ガス抜けや型破損によって発生しているケースもあります。

この記事では、私が現場で実際に行っている

「型温 → 圧力波形 → 速度波形」

の確認手順と、原因別の対策方法を解説します。

ショートショットとは

射出成形のショートショット(未充填)は、樹脂が金型末端まで届かず製品が欠ける不良です。

ショートショットの原因は温度・圧力不足だけでなく、ガス抜けや型破損が関係する場合もあります。

ショートショットの原因一覧

 

ショートショットの原因は大きく7つに分類できます。

・樹脂温度が低い
・射出速度が不足している
・型温度が低い
・射出圧力が不足している
・保圧が不足している
・ガス爆破による末端ショート
・型破損

現場では「充填不足」と判断されがちですが、

実際にはガス抜けや型破損が原因になることもあります。

ショートショットが出たときの確認手順

現場での確認順序:①型温度 → ②圧力波形 → ③速度波形

ショートショットが出たとき、私がまず確認するのは型の温度です。

型温度が設定どおりに出ているかを確認してから、次のステップへ進みます。

圧力波形を確認する

型温度に問題がなければ、次は圧力の波形を見ます。

設定圧力付近まで実際に出ているかどうかが確認ポイントです。

波形が設定値に届いていない場合は、充填不足が原因である可能性が高くなります。

速度波形を確認する

圧力の次は速度の波形を確認します。

設定どおりの速度プロファイルで動いているかを見ます。

波形の乱れや速度の落ち込みがある場合は、そこが充填のボトルネックになっている可能性があります。

原因別の対策

樹脂温度が低い

樹脂の粘度が高くなり、末端まで流れが届きません。

設定温度を上げて粘度を下げるのが基本対策です。

ただし上げすぎると樹脂劣化や焼けにつながるため、材料の推奨温度範囲内で調整します。

射出速度・圧力が不足している

速度・圧力が足りないと、固化が進む前に充填を完了できません。

波形を見ながら段階的に上げて、充填完了タイミングを確認します。

型温度が低い

型温度が低いと、樹脂が末端に届く前に固まります。

型温調整機の設定と実際の型温を確認します。

特に冬場は型温が安定するまでの時間が長くなるため、ウォームアップ時間に注意が必要です。

保圧が不足している

射出後の保圧が足りないと、末端への押し込みが足りなくなります。

保圧値と保圧時間を合わせて確認します。

型破損

金型のコア・スライドなどが破損していると、キャビティ形状が変わりショートが発生するケースがあります。

他の対策を試しても改善しない場合は、型の状態を目視確認します。

ガス爆破によるショートに注意

速度・圧力が高すぎると、ショート位置でガス爆破が起きる。末端がショートしているからといって、速度・圧力を上げるのは危険な場合がある。

ガスが逃げ場を失うと爆発的に燃焼し、末端が欠けたようなショートになります。

私が経験したケースでは、射出圧力と速度の両方が高い状態で発生しました。

ショートの位置がガス溜まりになりやすい場所の場合は、速度・圧力を下げる方向で対策を検討します。

ガス焼けとの複合不良になることも多いため、製品の焼け跡も合わせて確認してください。

私の実体験:末端ショートが出て「充填不足だ」と判断して速度を上げたら、ガス爆破によるショートがひどくなったことがあります。ショート位置のガス抜き状態を確認してから対策方向を決めることが重要です。

なぜショートを直すとバリが出るのか

ショートが出ると、多くの人は速度や圧力を上げます。

しかし充填量を増やしすぎると、今度はバリが発生します。

現場では「ショート・ヒケ・バリ」は互いに影響し合うため、1つだけを見ると対策を誤ることがあります。

ショート・バリ・ヒケは三つ巴の関係です。1つを直そうとして別の不良を出さないよう、変更は1項目ずつ・少量ずつが基本です。

よくある質問

ショートショットはどの樹脂でも起きますか?

はい、どの樹脂でも発生します。ただし形状が複雑になるほど流動抵抗が増えるため、発生リスクは上がります。

ショートとガス焼けが同時に出ています。どちらを先に対策しますか?

ガス焼けとショートが同じ位置で出ている場合は、ガス抜きの問題を先に疑います。速度・圧力を上げる前に、ガス逃げの状態を確認してください。

波形を見るとき、どこに注目すればいいですか?

まず設定圧力に対して実圧力が追従しているかを確認します。次に速度波形に落ち込みや乱れがないかを見ます。V-P切換のタイミングも合わせて確認すると、原因を絞りやすくなります。

まとめ

ショートショットは「充填が足りない」だけではなく「ガス爆破で末端が埋まらない」ケースもある。まず型温→圧力波形→速度波形の順に確認する。速度・圧力を上げる前に、ショート位置のガス抜き状態を必ず確認すること。

ショートショットの対策は、原因の方向性を間違えると悪化することがあります。

波形確認を習慣にすることで、対策の方向性を外すリスクを下げることができます。

まずは次回ショートショットが発生した際、

速度を上げる前に「型温→圧力波形→速度波形」の順で確認してみてください。

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