📋 この記事でわかること
- 症状から不良の原因を素早く絞り込む診断テーブル
- 外観不良・充填不良・条件系不良の全対策記事への導線
- 不良が出たときに最初にやるべき5つの確認
- このサイトには14年の現場経験から生まれた対策記事が20本あります。この記事を入り口として、あなたの不良に合った記事にたどり着いてください。
⚠️ 免責事項
本記事の数値・手順はあくまで参考値です。
実際の作業では金型メーカー指定値・社内規定を必ず最優先にしてください。
内容の適用による損害について、当サイトは責任を負いかねます。
成形現場で働く皆さん、今日もお疲れ様です。
1級技能士のゆーじです。
不良が出たとき、こんな状況になっていませんか。
「とりあえず射出圧を上げてみた。直らない。次は温度を下げてみた。むしろ悪化した。何が原因か分からない…」
条件をやみくもに変えると、原因の特定がどんどん難しくなります。
複数の条件が同時に変わった状態では、何が効いて何が裏目に出たのか判断できなくなるからです。
不良対策の第一歩は「症状から原因を絞り込むこと」であり、条件を変えるのはその後です。
結論から言います。
不良が出たら、まず製品を手に取って症状を観察してください。
「どこに」「どんな形で」出ているかを確認するだけで、原因の候補が半分以下に絞れます。
このサイトの記事はすべて「症状から原因を特定して、条件を1項目ずつ変える」という現場の鉄則に基づいて書いています。
この記事を入り口として、あなたの不良に合った記事を見つけてください。
射出成形 不良の原因を症状から特定する|診断テーブル
まず製品を手に取って症状を観察してください。
「どこに」「どんな形で」出ているかで、原因の候補が絞れます。
緊急度の目安も合わせて確認してください。
製品の縁に薄い樹脂のはみ出しPLライン・スライド合わせ面バリ🟠 高→ バリ・ショート対策
| 症状 | 発生箇所の特徴 | 疑うべき不良 | 緊急度 | 対策記事 |
|---|---|---|---|---|
| 表面に筋状の白い模様 | 流れ方向に沿って出る | シルバー(銀条) | 🟠 高 | → シルバー対策 |
| 蛇行した跡・折り畳み模様 | ゲート対面・キャビティ内部 | ジェッティング | 🟠 高 | → ジェッティング対策 |
| 波紋状・年輪状の模様 | ゲート周辺に集中 | フローマーク | 🟡 中 | → フローマーク対策 |
| 合流部に線状の筋 | 樹脂の流れが合流する箇所 | ウェルドライン | 🟡 中 | → ウェルドライン対策 |
| 表面が凹んでいる | 肉厚部・リブ・ボス周辺 | ヒケ | 🟠 高 | → ヒケ対策 |
| 製品の一部が欠けている | 流動末端・薄肉部・リブ先端 | ショートショット(未充填) | 🟠 高 | → ショートショット対策 |
| 表面が黒く焦げている | 流動末端・薄肉部 | ガス焼け | 🔴 緊急 | → ガス焼け・型温対策 |
| 黒い点が製品に混入 | 全体・または特定箇所 | 黒点 | 🟠 高 | → 黒点対策 |
| ピン周辺に油っぽい汚れ | エジェクタピン・コマ周辺 | 油染み | 🟡 中 | → 油染み対策 |
| 製品が金型から抜けない | キャビ側に貼り付く | 離型不良 | 🔴 緊急 | → 離型不良対策 |
| ノズルから糸が垂れる | 型開き時・取り出し時 | 糸引き | 🟡 中 | → 糸引き対策 |
🔴 緊急:次のショットで型傷・設備ダメージのリスクあり。即停止して確認。
🟠 高:出荷不可レベルの外観不良。早急に原因特定が必要。
🟡 中:継続して観察しながら条件調整で対応可能。
外観不良の対策記事一覧
製品の見た目に関わる不良です。
検査で弾かれる・クレームになるリスクが高いため、原因の特定スピードが重要です。
シルバー(銀条・シルバーストリーク)
表面に流れ方向に沿った白い筋が出る不良です。
原因は「水分」か「ガス」のどちらかです。
筋状なら水分由来、泡状ならガス由来と見分けて対処します。
乾燥機のフィルター確認が最初の一手で、条件を変える前に必ず乾燥状態を確認することが鉄則です。
「乾燥した」という事実だけでは不十分で、フィルターが詰まっていれば時間を延ばしても意味がありません。
→ 【1級技能士が解説】射出成形シルバー対策|なぜ消えない?原因チェックリストと完封術
ジェッティング
ゲートから樹脂が扇状に広がらず蛇行して飛び出し、製品表面に「くねった跡」が残る不良です。
初速を落とすだけで大概は解決します。
サイドゲートとピンゲートで対策の塩梅が変わる点が重要で、ピンゲートはサイドゲートほど落としすぎると型温補正も効かなくなります。
フローマークと混同しやすいですが、発生箇所がゲート周辺かキャビティ内部かで見分けられます。
→ 【1級技能士が解説】射出成形 ジェッティングの原因と対策|初速を落として金型温度で補う
フローマーク
ゲート周辺に波紋状・年輪状の模様が出る不良です。
樹脂温度・型温・射出速度のバランスが崩れると発生します。
ジェッティングと混同しやすいですが、フローマークはゲート周辺に出るのが特徴です。
速度を変えてフローマークが悪化する場合は型温で補う方向が正解です。
→ 【1級技能士が解説】射出成形 フローマーク対策|ゲート周辺の縞をなくす原因と改善手順
ウェルドライン
樹脂の流れが合流する箇所に線状の筋が出る不良です。
合流点の温度不足が主な原因です。
速度・温度の調整順序を守ることが解決の鍵で、闇雲に圧力を上げても改善しません。
合流箇所のベント詰まりが原因になっているケースも多いため、清掃も合わせて確認してください。
→ 【1級技能士が解説】射出成形 ウェルドライン対策|速度・温度の調整順序と判断基準
糸引き
型開き時や取り出し時にノズルから糸状の樹脂が垂れる不良です。
サックバック(減圧)の設定が主な原因で、設定が足りないと次のショットで糸が金型内に残り外観不良や詰まりの原因になります。
サックバックから始めて原因別に対処する手順を解説しています。
→ 【1級技能士が解説】射出成形 糸引き対策|サックバックから始める原因別の直し方
油染み
エジェクタピンのグリスやコマのさび止めが製品に転写される不良です。
金型洗浄剤は金型に直接吹かず、綿手に吹いてから拭くが鉄則です。
生産再開前のコマのさび止め拭き取りを工程に組み込むことで再発を防げます。
→ 【1級技能士が解説】射出成形 油染み完全対策|成形品への転写を防ぐ清掃手順と現場メソッド
黒点
シリンダー内で炭化した樹脂が剥がれて製品に混入する不良です。
色替え後・長時間放置後に出やすい。
アサクリンEX→SLの2段階パージで9割は解決します。
それでも消えない場合はスクリューを抜いて直接掃除する段階に入ります。
→ 【1級技能士が解説】射出成形 黒点の原因と対策|パージ材とスクリュー掃除の使い分け
充填・成形条件系の不良記事一覧
充填のバランスや成形条件のズレから生じる不良です。
原因が複合することが多く、1項目ずつ切り分けることが重要です。
ショートショット(未充填)
樹脂が金型末端まで到達せず、製品の一部が欠ける不良です。
単純な充填不足だけでなく、ガス爆破や型破損が原因になる場合もあります。
現場では速度や圧力を上げて対策しがちですが、バリやガス焼けを悪化させるケースもあるため注意が必要です。
バリ・ショート(同時発生)
「バリを消すとヒケが出る」「未充填なのにバリが出る」という矛盾した状態が起きるのは内圧の暴走が原因です。
バリとショートが同時に出たときの考え方を解説しています。
条件を変える前にV-P切換位置の確認が最初の一手です。
→ 【1級技能士が解説】射出成形 バリの原因と対策|ショートと同時発生する理由
ヒケ
肉厚部の冷却収縮で表面が凹む不良です。
保圧を上げすぎるとPLに糸バリが出ます。
「ヒケが消えるギリギリの保圧」を見つけることが正解で、上げ続けることが目的ではありません。
疑う順番は「肉厚→保圧→冷却→ゲート」です。
→ 【1級技能士が解説】射出成形 ヒケと保圧|入れすぎが糸バリを生む理由と正しい対策
ガス焼け・型温管理
流動末端で樹脂が黒く焦げる不良です。
原因はベントの詰まりだけでなく熱膨張によるベントの物理的消失です。
型温の実測値が設定値+10〜20度を超えたら危険域で、即停止して型温を確認してください。
1000ショット後に突然出始めるのはこのためです。
→ 【1級技能士が警告】射出成形 ガス焼けの原因は型温|熱膨張で0.02mmベントが消える理由と対策
離型不良
製品がキャビ側に貼り付いてエジェクタが届かない状態です。
焦って製品面にニッパーを当てると取り返しがつかない傷が残ります。
溶けた樹脂でテコを作る現場の奥義も公開しています。
再発防止は保圧→V-P切換→突き出し速度→冷却の順で確認します。
→ 【1級技能士が解説】射出成形 離型不良の対処法|製品が抜けないときの手順
不良が出たときの初動確認|条件を変える前にやること
どんな不良が出ても、最初にやることは共通しています。
条件を変えるのはこの確認を終えてからです。
複数の不良が同時に出ている場合は、最も緊急度の高いものを一つに絞ってから対処してください。
複数を同時に直そうとすると、どの対策が効いたか判断できなくなります。
- 症状を記録する|どこに・どんな形で・いつから出ているか
- 発生箇所を特定する|ゲート付近か・末端か・毎回同じ場所か
- 前のショットと何が変わったか確認する|材料ロット・型替え・停止時間など
- 材料の乾燥状態を確認する|乾燥温度・時間・フィルターの向き
- 変更は1項目ずつ|複数同時変更は原因の特定を遠ざける
❌ やってはいけない初動
- 原因を特定せずに射出圧・速度を一気に変える
- 複数の条件を同時に変更する
- 「前回うまくいった条件」に戻すだけで終わらせる
条件設定の基本を学ぶ記事一覧
不良対策と並行して、条件設定の基本を理解しておくと対処のスピードが上がります。
- 【1級技能士が解説】射出成形 V-P切換の設定方法|失敗しない調整手順と3大悪手
- 【1級技能士が解説】射出成形 背圧の設定方法|上げる・下げるの判断基準
- 【1級技能士が解説】射出成形 冷却時間|短くしすぎると何が起きるか
- 【1級技能士が解説】射出成形 多段射出|速度を刻みすぎると制御不能になる理由
- 【1級技能士が解説】射出成形 型締力の計算と機械選定|バリが止まらない理由
よくある疑問(FAQ)
Q. 射出成形で不良が複数同時に発生した場合の対処法は?
まず診断テーブルで各不良の緊急度を確認してください。
🔴緊急の不良(ガス焼け・離型不良)がある場合は即停止して優先対処します。
複数を同時に直そうとすると何が効いたか分からなくなるため、緊急度の高いものを1つに絞って対処し、解決してから次の不良に移ることが鉄則です。
Q. 射出成形の不良が条件を変えても改善しない原因は?
原因の特定が間違っている可能性が高いです。
条件変更の前に「発生箇所・形状・タイミング」の3点を再確認してください。
特に材料の乾燥状態は見落とされがちで、乾燥機のフィルター詰まりや逆向き取り付けが原因になっているケースが現場では頻繁にあります。
まとめ|不良対策は「症状の観察」から始まる
- 不良が出たらまず症状を観察する。条件を変えるのはその後。
- 発生箇所・形状・タイミングで原因の候補を絞り込む。
- 複数の不良が出たら緊急度の高いものを一つに絞る。
- 変更は1項目ずつ。複数同時変更は厳禁。
- 解決したら原因と対策を記録する。次の発生時の対処が速くなる。
14年の現場で学んだことは、不良を怖がる必要はないということです。
症状を正確に読めれば、原因は必ず絞り込めます。
条件をやみくもに変える「条件屋」ではなく、症状から原因を特定して根拠を持って対処できる「本物の成形技術者」になることが、このサイトが伝えたいことのすべてです。


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