【1級技能士が解説】射出成形の保圧とは?時間・圧力の決め方|ヒケ・バリ・気泡対策

射出成形の保圧とは?時間・圧力の決め方やヒケ・バリ・気泡との関係を図解で解説したアイキャッチ画像 射出成形

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成形現場で働く皆さん、今日もお疲れ様です。

1級技能士のゆーじです。

「保圧ってどのくらい入れればいいの?」

ヒケが消えない・バリが出る・気泡が残るといった不良に悩んでいる方から、よくこの質問を受けます。

保圧は射出成形の中でも特にトラブルが多い工程です。

入れすぎるとクラック・バリ・残留応力の原因になり、少なすぎるとヒケ・気泡・寸法不良につながります。

この記事の結論
・保圧は樹脂の収縮を補う工程
・時間を先に決め、圧力は後から段階的に調整する
・ヒケ・気泡・バリ・クラックは保圧設定と深く関係する

この記事では、私が現場で実践している保圧の考え方・時間と圧力の決め方・不良との関係を解説します。

保圧とは

保圧とは、射出完了後に樹脂が固まるまでの間、スクリューで圧力をかけ続ける工程です。

樹脂は冷えると収縮します。

この収縮を補うために、ゲートが固まるまで樹脂を押し込み続けるのが保圧の役割です。

ゲート固化とは、ゲート部の樹脂が固まり、それ以上樹脂が流れ込まなくなる状態です。ゲートが固化したあとは保圧をかけ続けても効果がありません。
保圧がなければ樹脂の収縮を補えず、ヒケ・気泡・寸法不良につながります。保圧は「充填後の品質を安定させる工程」です。

保圧の設定の考え方

V-P切換のタイミングが基本

保圧を設定する前に、V-P切換(速度制御から圧力制御への切換)のタイミングが重要です。

基本はジャストパック(キャビティがちょうど満たされる量)かその手前でV-P切換をすること。最初から保圧を一気に入れないことが重要です。

V-P切換の詳しい設定方法についてはV-P切換の記事も参考にしてください。

時間を先に決める

私の場合、最初に保圧時間を1〜3秒程度に設定してから、圧力を調整する順番で進めます。時間が長すぎるとゲートが固まった後も圧力がかかり続けて残留応力の原因になります。

圧力は段階的に上げる

保圧圧力は最初から高い値を入れないことが基本です。

低い圧力から様子を見ながら段階的に上げていきます。

保圧を一気に上げると、バリ・クラック・残留応力の原因になります。1段階ずつ確認しながら調整してください。

保圧圧力の目安

保圧圧力は、射出圧力の50〜80%程度から設定することが多いですが、あくまで初期設定の目安です。

製品形状・樹脂・ゲート形状によって適正値は異なるため、実際の成形状態を確認しながら調整してください。
  • バリが出る → すぐに保圧を下げる
  • ヒケが残る → 保圧を上げる(ただしV-P切換位置も確認)
  • 製品重量が安定しない → クッション量・V-P切換を確認
私は保圧を調整するとき、1ショットごとに製品重量も確認します。重量が安定しているのにヒケだけが残る場合は、保圧以外の条件(型温・冷却時間など)を疑います。

保圧2段の使い方

保圧2段は、1段目と2段目で圧力を変えることで、充填性と外観品質を両立させたい場合に使用します。

ピンゲートのゲート凸対策

私の場合、ピンゲートでゲート凸が気になる時は保圧2段を使います。1段目で充填を補い、2段目は製品の状態に合わせて調整します。基本的には低めに設定しますが、製品によってはわずかに上げた方が改善する場合もあります。ただし、上げすぎには注意してください。

保圧を上げても改善しない原因

保圧を上げてもヒケが消えない・気泡が残るという場合は、保圧以外に原因があることがあります。

  • V-P切換位置が早すぎて充填量が足りていない
  • クッション量が不足している
  • ゲート固化時間が短く保圧が十分に伝わっていない
保圧を上げても改善しない場合は、まずV-P切換位置とクッション量を確認してください。充填量が足りていない状態でいくら保圧を上げても効果は出ません。

樹脂温度・金型温度・製品形状など保圧以外の要因については、ヒケ対策の記事で詳しく解説しています。

クッション量の確認方法についてはクッション量の記事を参考にしてください。

速度で直らなかった不良が保圧で解決した実体験

末端にシルバーと気泡が出る成形品で、射出速度をいくら調整しても改善しないケースがありました。

速度を変えても末端のシルバーと気泡が消えなかったため、保圧で樹脂補給を十分に行う方向に切り替えました。保圧条件を見直して収縮補償を行ったところ、改善できました。速度だけで解決しようとせず、保圧の役割を活かすことで対応できた事例です。
射出速度で解決できない末端不良は、保圧の見直しが有効なことがあります。ただしこの方法はすべての製品に使えるわけではないため、製品形状やゲート位置を確認しながら判断してください。

保圧と不良の関係

保圧が少ない場合

  • ヒケ(表面の凹み)
  • 気泡・ボイド(内部の空洞)
  • 寸法不良(収縮が大きくなる)
  • ソリ(末端側の密度低下)
保圧が少なすぎると樹脂の収縮を補えません。私が経験したケースでは、保圧不足が原因で内部に気泡が発生したことがありました。

保圧が多い場合

  • バリ(型の合わせ目からの樹脂漏れ)
  • クラック(残留応力による割れ)
  • 離型不良(型から抜けにくくなる)
  • ゲート凸(ゲート部分が盛り上がる)
保圧が高すぎると残留応力が増え、製品を使用中にクラックが発生することがあります。特にPCなど応力に敏感な樹脂は注意が必要です。

ヒケの詳しい対策についてはヒケ対策の記事を参考にしてください。

バリの対策についてはバリ・ショートの基本対策も参考にしてください。

保圧時間の目安と確認方法

私が保圧を設定する場合は、初期設定として1〜3秒程度を目安にしています。

保圧時間は製品サイズ・ゲート径・樹脂によって異なります。

実際には製品重量を確認しながらゲート固化時間を見極めることが重要です。

保圧時間の確認方法:保圧時間を少しずつ延ばしながら製品重量を測定します。重量が変わらなくなった時点がゲート固化のタイミングです。それ以上延ばしても効果がありません。

保圧時間を延ばす場合は、サイクルタイムも長くなります。

品質向上と生産性のバランスを見ながら設定することも重要です。

よくある質問

保圧はどのくらいの圧力に設定すればいいですか?

射出圧力の50〜80%程度を初期設定の目安にすることが多いです。ヒケやバリの状態・製品重量を見ながら段階的に調整してください。一気に高い値を入れないことが重要です。

保圧時間はどのくらいが目安ですか?

私が保圧を設定する時の目安は1〜3秒程度です。

保圧時間は製品サイズ・ゲート径・樹脂によって異なります。

保圧時間を少しずつ延ばしながら製品重量を測定し、重量が変わらなくなったタイミングがゲート固化の目安です。

それ以上延ばしても効果はありません。

保圧を上げてもヒケが消えません。どうすればいいですか?

V-P切換位置を見直してください。

保圧を上げる前に充填量が足りていない場合、いくら保圧を上げても改善しないことがあります。

切換位置を手前にして充填量を増やす方向も検討してください。

保圧とクッション量の関係は?

クッション量が安定していないと保圧が毎ショットばらつきます。

保圧を調整する前に、クッション量が適正値(目安5〜7mm)に入っているかを確認してください。

保圧2段はどんな時に使いますか?

ピンゲートでゲート凸が気になる場合などに使います。

1段目で充填を補い、2段目を低めに設定してゲート部分の圧力を落とす方法が有効なことがあります。

まとめ

保圧はジャストパックかその手前でV-P切換をしてから設定する。保圧時間は初期設定として1〜3秒程度を目安にし、製品重量を確認しながらゲート固化時間を見極める。圧力は段階的に上げる。保圧が少なすぎるとヒケ・気泡、多すぎるとバリ・クラックの原因になる。保圧を上げても改善しない場合はV-P切換とクッション量を確認する。

保圧は射出成形の品質を左右する重要な工程です。

ヒケを直そうとして保圧を上げすぎるとバリやクラックが出る。

この「三つ巴」の関係を理解した上で、1項目ずつ確認しながら調整することが大切です。

保圧だけでは解決しない不良もあります。

射出速度・V-P切換・クッション量との関係も合わせて理解すると、条件出しがスムーズになります。

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